牛タンの基本情報
牛タンは、牛の舌全体を指す部位です。焼肉や定食として広く親しまれており、独特の弾力と旨みが特徴です。1頭から取れる量は1〜1.5kg程度と限られており、タン元・タン中・タン先・タン下の4つに分けられます。
タン元は舌の付け根にあたる部分で、最も厚みがあり脂の旨みが豊か。タン中はその隣で、焼肉店で「牛タン」として提供されることが最も多い部分です。タン先は舌の先端で筋が多く硬めですが、煮込み料理に向いています。タン下は舌の裏側にあたり、筋が多いため丁寧な下処理が重要です。
スーパーでは薄切りや厚切りにスライスされたもの、または塊(ブロック)のまま販売されています。ブロックで購入した場合は家庭でも適切な下処理を行うことで、風味よく仕上げることができます。スライス済みのものでも、血が多い場合は簡単な下処理をしておくとにおいが軽減されます。
牛タンはほかの牛肉部位と比べて血の量が多い部位です。購入直後からドリップ(赤い液体)が出ている場合は、早めに下処理を行うのがおすすめです。下処理後は鮮度が落ちやすいため、当日または翌日を目安に使い切るか、冷凍保存に切り替えましょう。
下処理に必要な道具と事前準備
牛タンの下処理を始める前に、道具と食材の状態を整えておきましょう。
必要な道具は以下のとおりです。
- よく切れる包丁(牛刀または出刃包丁が扱いやすい)
- 大きめのまな板
- ボウル(水にさらすため)
- キッチンペーパー
- キッチンバサミ(あると便利)
最も大切な事前準備が解凍の状態の調整です。冷凍の牛タンをそのまま解凍しきってしまうと、肉が柔らかくなりすぎて包丁が入りにくくなります。内部がやや凍った状態の「半解凍」で作業するのがポイントです。
冷蔵庫でゆっくり解凍する場合、冷凍庫から冷蔵室へ移してから8〜12時間が半解凍の目安です。触ったときに表面は解けているが中心部にはまだ硬さが残っている状態を目指してください。急ぐ場合は流水解凍でも構いませんが、その際も完全に解凍しきらないよう時間を管理しましょう。
また、作業前に流水で表面を軽く洗い、ドリップを落としておくと扱いやすくなります。
下処理の手順
ステップ1:皮をそぐ
牛タンの表面(舌の上側)には白っぽく少しざらついた皮が付いています。この皮は加熱後も硬く残りやすく、口当たりが悪くなる原因になります。包丁でそぎ落とすことで食感が大きく改善します。
包丁を持って刃を寝かせ、タン先(舌の先端側)からタン元(付け根側)に向けてゆっくりと動かしながらそいでいきます。力を入れすぎると身まで削りすぎてしまうため、刃を浅めに当てて少しずつ進めるのが基本です。
舌の裏側(タン下)の皮は表面よりもやや取りにくいことがありますが、同様の手順で対応してください。完全に取り除けない箇所は、後で切り分ける際に除いても問題ありません。
ステップ2:血の塊・筋を取り除く
皮をそいだあと、断面や表面に血の塊や赤黒い部分が残っている場合があります。これらはにおいや見た目の原因になるため、包丁の先かキッチンバサミで丁寧に取り除きましょう。
タン下には白い筋(腱)が入っていることがあります。この筋は加熱しても硬くなりやすいため、焼肉として食べる場合はあらかじめ除いておくと食べやすくなります。煮込み料理に使う場合は、そのまま使用しても構いません。
ステップ3:水にさらして血抜きをする
下処理の最終ステップが血抜きです。血が多く残っていると、焼いたときに独特のにおいが出やすくなります。
ボウルに冷水を張り、処理した牛タンを30分〜1時間ほどさらします。水が赤くにごってきたら新しい水に替え、これを2〜3回繰り返してください。水がほぼ透明になったら血抜き完了のサインです。
購入時からドリップがほとんど出ていない場合は、この工程を10〜15分程度に短縮しても問題ありません。逆ににおいが気になる場合は、冷水の代わりに牛乳に30分ほど浸す方法も臭みを和らげる効果があるとされています。
血抜きが終わったら、キッチンペーパーで丁寧に水気を取り除いてから切り分けます。
下処理後の保存方法
下処理を終えた牛タンは鮮度が落ちやすいため、すぐに使わない分は速やかに保存しましょう。保存方法と目安は以下のとおりです。
| 保存方法 | 保存期間の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 冷蔵(チルド室) | 1〜2日 | ラップに密着させて包み、チルド室へ |
| 冷凍 | 2〜3週間 | 一食分ずつ小分けにして冷凍用保存袋に入れ、空気を抜く |
冷凍する際は一食分ずつラップで包み、冷凍用保存袋に入れてから空気をしっかり抜いてください。金属製のトレイの上に置いて急速冷凍すると、肉の品質が保たれやすくなります。
解凍は冷蔵庫でゆっくり行うのが基本です。前日の夜に冷凍庫から冷蔵室へ移しておくと、翌日には焼ける状態になります。電子レンジでの解凍は肉質が変わりやすいため、できるだけ避けましょう。
ブロックで購入した場合は、下処理後にタン元・タン中・タン先に切り分けてから冷凍する方法が便利です。部位ごとにパッケージを分けておくと、焼肉・ステーキ・煮込みといった料理の目的に応じて取り出しやすくなります。部位別の特徴については牛タンの部位ガイドもあわせてご参照ください。
よくある失敗と対処法
牛タンの下処理でよくある失敗と、その対処法を紹介します。
皮がうまくむけない
完全解凍の状態で作業すると身が柔らかすぎて包丁が入りにくくなります。半解凍の状態で行うことが最大のポイントです。また、包丁の切れ味が落ちていると皮がうまくそげないため、使用前に研いでおくと作業しやすくなります。
血抜き後もにおいが気になる
水にさらす時間が足りない可能性があります。1時間を目安に、水が透明になるまで繰り返してみましょう。水の代わりに冷たい牛乳に浸す方法も、においを軽減するとされています。
身を削りすぎてしまう
皮をそぐ際に包丁の角度が急すぎると身まで削ってしまいます。刃をより寝かせた角度にして、浅く薄くそぐ意識で作業してみてください。慣れないうちは少量ずつ進めるのがコツです。
筋が残って食感が悪い
タン下の白い筋は包丁の先を使って少しずつ取り除きましょう。筋の多い部分は焼肉には向かないため、煮込み料理に回すか、細かく刻んで炒め物に使うと無駄になりません。
下処理後の保存が適切でなく傷んでしまう
下処理後は鮮度の低下が早まるため、当日中に使わない分はその日のうちに冷凍保存に切り替えましょう。冷蔵での保存は翌日までを目安にしてください。
まとめ
牛タンの下処理は、半解凍の状態で行うことが最大のポイントです。皮をそぐ・血の塊や筋を取り除く・水にさらして血抜きするという3つのステップを順番に行うことで、においが少なく食べやすい状態に仕上がります。
丁寧に下処理をした牛タンは、焼肉はもちろんステーキや煮込み料理にも活用できます。冷凍保存を上手に組み合わせて、さまざまなシーンで牛タンをお楽しみください。
焼き方のコツについては牛タンの焼き方、ブロックの切り分け方については牛タンブロックの切り方もあわせて参考にしてみてください。