ハツとはどこの部位?
ハツとは、牛・豚・鶏などの心臓のことです。英語の「ハート(Heart)」が転じて「ハツ」と呼ばれるようになったとされており、焼肉店やホルモン専門店では「ハツ」「ハート」の両方の表記で目にすることがあります。
心臓は血液を全身に送り出すポンプとして、生涯にわたって休みなく動き続ける筋肉の塊です。そのため一般的な内臓ホルモンよりも筋肉質で引き締まった構造をしており、他のホルモンとは一線を画す独特の食感が生まれます。
牛のハツは1頭から1個しか取れないためやや希少ですが、豚のハツは比較的流通量が多く、焼肉店でも広く提供されています。鶏のハツは焼き鳥の定番メニューとして親しまれており、三種のなかで最も手に入りやすい部位です。お店では下処理済みのものがスライスや筒切りの状態で提供されるのが一般的で、家庭でも比較的扱いやすい部位といえます。
味と食感の特徴
ハツ最大の魅力は、他のホルモンにはないコリコリとした弾力ある食感です。心臓は絶え間なく収縮を繰り返す筋肉組織でできているため、かみしめるたびにしっかりとした歯ごたえが楽しめます。この食感はミノやセンマイのザクザク感とも異なり、ほどよい弾力と噛み切れる柔らかさを兼ね備えています。
味わいは淡泊でクセが少なく、ホルモンのなかでは比較的食べやすい部位です。脂肪分が少ないため、カルビやマルチョウのような脂のコクはありませんが、それゆえにさっぱりとした後口が楽しめます。牛のハツは豚に比べてやや旨みが強く、噛み応えもあります。豚のハツは牛よりひと回り小ぶりで柔らかく、初めての方でも食べやすい傾向があります。
ホルモン特有のにおいも比較的少ない部位ですが、鮮度が落ちると鉄っぽい臭みが出やすくなります。新鮮なものを下処理した状態であれば、においはほとんど気になりません。塩で食べると素材本来の旨みと食感がよく伝わり、タレと合わせるとコクが加わって食べ応えが増します。
ハツはホルモンのなかでもクセが少なく、内臓系の食材が苦手な方でも比較的挑戦しやすい部位です。はじめてホルモンを試みる場合にもおすすめです。
カロリーと栄養価
ハツは低カロリー・高タンパクで知られる優秀な食材です。以下に牛・豚のハツの主要栄養素(100gあたりの一般的な目安)をまとめました。
| 栄養素 | 牛ハツ(100gあたり目安) | 豚ハツ(100gあたり目安) |
|---|---|---|
| エネルギー | 約142kcal | 約118kcal |
| タンパク質 | 約16g | 約16g |
| 脂質 | 約8g | 約6g |
| 鉄分 | 約4mg | 約3mg |
| ビタミンB2 | 約0.9mg | 約0.8mg |
| 亜鉛 | 約2mg | 約2mg |
※上記の数値は一般的な目安です。個体差や調理方法によって異なります。
ハツはタンパク質が豊富でありながら脂質が少なく、カロリーは赤身肉と同程度かやや低めです。鉄分はヘム鉄の形で含まれるため吸収率が高く、貧血予防が気になる方にも注目される食材です。また、ビタミンB2は皮膚・粘膜の健康維持やエネルギー代謝のサポートに関わっており、日常の食事でも意識したい栄養素のひとつです。亜鉛も含まれており、免疫機能の維持にも一役買っています。
美味しい食べ方・焼き方
ハツを美味しく食べるうえで最も重要なのが火加減の管理です。焼きすぎると食感が固くなり、コリコリ感が失われてしまうため、適度な焼き加減を見極めることがポイントになります。
基本の焼き方:スライスされたハツは、中火〜強火で片面に焼き色がつくまで1〜2分ほど焼きます。焼き色がついたら裏返し、さらに30秒〜1分ほど焼けば完成です。断面がほんのり赤みを残す程度の焼き加減が、コリコリ食感と旨みを最大限に楽しめる目安です。
塩で食べるのが基本:ハツ本来の味わいを楽しむには、シンプルな塩・レモンが最もおすすめです。素材の淡泊な旨みとコリコリ食感が引き立ちます。タレで食べる場合は、甘辛いものよりもすっきりとした醤油ベースやポン酢との相性が良いとされています。タレが焦げやすいため、タレ焼きは火加減をやや弱めにするとよいでしょう。
家庭での下処理:購入したハツに血の塊や薄い膜が残っている場合は、冷水で丁寧に洗い流します。塩で軽くもんでから流水で洗うと臭みが取りやすくなります。新鮮なものを早めに調理することが、美味しさを保つ基本です。
注文するときのポイント
焼肉店やホルモン専門店でハツを注文する際に知っておくと役立つポイントをご紹介します。
切り方の違いを知る:ハツはスライス(薄切り)と筒切り(輪切り)の2パターンで提供されることがあります。スライスは火の通りが早く食べやすく、初めての方にはこちらがおすすめです。筒切りは断面の見た目が楽しく、コリコリ食感がより強く感じられます。お店によっては注文時に希望を伝えられる場合もあります。
新鮮さを重視する:ハツは鮮度が命です。色つやが鮮やかで赤みが強いものほど新鮮なサインです。鮮度の良いお店で注文することで、臭みのない本来の味わいが楽しめます。
食べる順番の工夫:ハツはあっさりとした味わいなので、カルビやロースなど脂の多い部位を食べる前に注文するのがおすすめです。ホルモンを複数注文する場合は、ハツのような淡泊な部位を先に食べ、マルチョウやシマチョウのような脂のりの良い部位へと移っていくと、それぞれの味わいが引き立ちます。
タレか塩かを迷ったら:初めてハツを食べる場合は塩がおすすめです。素材そのものの淡泊な旨みと食感が楽しめます。ハツ特有の風味が気になる場合は、タレや辛味噌などを合わせると食べやすくなります。
ハツは焼きすぎ厳禁。コリコリ食感を楽しむコツは、表面に焼き色がついたらすぐに食べることです。余熱でも火が入るため、網から外すタイミングは少し早めを意識しましょう。
まとめ
ハツ(心臓)は、コリコリとした独特の食感と低カロリー・高タンパクな栄養価が魅力のホルモン部位です。ホルモンのなかでもクセが少なく、内臓系が苦手な方にも比較的食べやすいため、ホルモン入門の一品としても最適です。鉄分・ビタミンB2・亜鉛など体に嬉しい栄養素も豊富で、ダイエット中や栄養が気になる方にも注目の食材といえます。焼く際は火加減に注意し、表面に焼き色がついたらすぐに食べることで、最高のコリコリ食感が楽しめます。次回のホルモン焼きでは、ぜひハツを試してみてください。