焼き鳥の定番部位として人気の砂肝ですが、美味しく仕上げるためにはひと手間の下処理が欠かせません。特に注目したいのが「銀皮(ぎんかわ)」と呼ばれる硬い薄膜の処理です。銀皮を取り除かないまま焼くと、どれだけ丁寧に火を入れても硬くゴリゴリとした口当たりが残ります。反対に、銀皮をきちんと外した砂肝は、程よい弾力のあるコリコリとした食感が楽しめます。

この記事では、銀皮の見分け方から包丁を使ったそぎ取りの手順、竹串を使って包丁なしで外す方法、焼く前の切り込みの入れ方、ゆでてから外す場合との違いまで、砂肝の下処理を一通り解説します。

砂肝とはどんな部位か

砂肝は鶏の消化器官のひとつで、正式には「砂嚢(さのう)」と呼ばれます。鶏は歯を持たないため、砂や小石を取り込んで食べ物をすりつぶすための筋肉質な器官を持っており、それが砂肝にあたります。筋肉の密度が高いことから、加熱後もコリコリとした独特の弾力が残るのがこの部位の最大の特徴です。

カロリーは100gあたり一般的な目安として94kcal前後とされており、高タンパク・低脂質の部位として知られています。鉄分や亜鉛なども含まれており、栄養面でも注目を集める部位です。焼き鳥として串に打って焼くのが最もポピュラーな食べ方で、塩仕上げにするとすっきりとした味わいが楽しめます。炒め物やポン酢和えなど、さまざまな料理にも活用されます。

砂肝の栄養とカロリーの詳細については砂肝の栄養は?カロリー・たんぱく質・プリン体の目安を解説もあわせてご覧ください。

銀皮とは何か ― 下処理が必要な理由

砂肝の両端には「銀皮」と呼ばれる青白く光沢のある薄い膜が付いています。砂肝を横向きに置いたとき、中央の赤みがかった筋肉部分(可食部)を両側から挟むようにして、青白くツルツルした部分が見えます。これが銀皮です。

銀皮はコラーゲンの密度が非常に高く、加熱してもやわらかくなりにくいという性質があります。そのため、銀皮を残したまま焼くと「ゴリゴリ」「ガリガリ」とした硬い食感が残り、噛み切りにくくなります。一方で銀皮をきちんと取り除いた砂肝は、弾力のある心地よいコリコリ食感に変わります。

スーパーや精肉店で販売されている砂肝の中には、すでに銀皮を取り除いたものもあります。購入した砂肝をよく確認し、青白い光沢がある部分が残っていれば下処理が必要です。

銀皮は全体の重量のうち少量ですが、食感に大きく影響します。丁寧に取り除くほど仕上がりの食感がよくなります。

銀皮の取り方

ステップ1:包丁を使う方法(そぎ取り)

砂肝の水気をキッチンペーパーで拭き取り、まな板に横向きに置きます。銀皮と赤身の境目を確認したら、包丁の刃を水平に寝かせて境目に刃先を入れます。この際、刃を立てすぎると赤身まで削ってしまうため、まな板と平行になるイメージで包丁を持つのがポイントです。

包丁は「切る」のではなく「そぐ」「引く」動作で動かします。砂肝を反対の手でしっかり押さえながら、刃を銀皮に沿わせるように手前に引いて、薄くそぎ取っていきます。片面の銀皮が取れたら砂肝を裏返し、もう片面も同じ手順で処理します。

ステップ2:竹串を使う方法(包丁なし)

包丁での作業が難しいと感じる場合や、初めて下処理をする場合は竹串を使う方法もあります。砂肝をまな板に安定させ、竹串の先端を銀皮の端と赤身の境目に差し込んで、ゆっくりとすき間を作ります。竹串でめくりながら端を少し持ち上げたら、もう一方の手で砂肝をしっかり固定します。

銀皮の端をつまみ、砂肝本体を押さえながらゆっくりと引きはがします。一気に引っ張ると途中で破れやすいため、角度を変えながら少しずつ丁寧に行うのがコツです。完全に外れない部分は、竹串を使って再度すき間を作りながら進めましょう。反対側も同様に処理します。

ステップ3:仕上げの水洗いと確認

銀皮を取り除いたあとは流水で砂肝を軽く洗い、残った薄膜や血の固まりがあれば指先でやさしく取り除きます。最後に、砂肝を光に当てて青白い光沢が残っていないか確認します。光沢のある部分が残っていれば追加で取り除いてください。確認が終わったらキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。

切り込みの入れ方と「ゆで外し」の違い

銀皮を取り除いたあとは、砂肝の両面に「隠し包丁」として浅い切り込みを入れると、加熱時の縮みを抑えられ、火の通りも均一になりやすくなります。切り込みは縦・横どちらでも3〜4本程度入れれば十分です。串打ちをする場合は、切り込みを入れてから串を通すと安定しやすくなります。

下処理の方法として「先に湯通しして銀皮を外す」やり方もあります。60〜70℃程度のぬるま湯に砂肝を30秒ほどくぐらせると、銀皮が少し収縮して端がめくれやすくなります。ただし表面にある程度火が入るため、生から処理した場合と仕上がりの食感が変わります。

下処理の方法 特徴 向いている調理法
生から銀皮を外す 食感を最大限に活かせる。多少手間がかかる 焼き鳥、塩焼き、炒め物
湯通ししてから外す 銀皮が外れやすい。表面に熱が入る 煮込み、和え物、炒め物

よくある失敗と対処法

失敗の例 原因 対処法
赤身まで削ってしまう 包丁の角度が立ちすぎている 刃をまな板に対して水平に寝かせ、薄くそぐイメージで動かす
銀皮が途中で切れて残る 一気に引きはがそうとしている 少しずつ角度を変えながら、ゆっくり引いていく
下処理後も硬い食感が残る 銀皮が一部残っている 光に当てて光沢を確認し、残っている部分を追加で取り除く
砂肝がまな板の上で滑る 表面の水分が多い 作業前にキッチンペーパーで水気をしっかり拭いておく
焼くと縮んで串が外れる 切り込みを入れていない 下処理後に浅い切り込みを3〜4本入れてから串打ちする

まとめ

砂肝の下処理の要点は「銀皮をしっかり取り除くこと」に尽きます。包丁でそぎ取る方法は慣れれば手早く処理できますが、初めての場合は竹串を使う方法のほうが感覚をつかみやすいでしょう。どちらの方法でも、焦らず丁寧に作業することが仕上がりの食感を左右します。

銀皮を除去してから焼いた砂肝は、程よいコリコリ感があり、噛み切りやすい食感になります。下処理に慣れてきたら、切り込みを入れての串打ちまで一連の手順をスムーズに行えるようになります。手間はかかりますが、その分だけ仕上がりの差を実感できるのが砂肝の下処理の醍醐味です。

砂肝を下処理したあとの美味しい焼き方については砂肝の美味しい焼き方|コリコリ食感を最大限に引き出す方法もあわせてご覧ください。